ねこじぞう本舗

家族(猫6匹)との日常や、郷里の思い出を忘れずにとどめておきたいなあとか思ってゆるゆる始めてみました。アニメや漫画も好きなので、イラストもアップしつつお気楽にやって行こうと思います。不定期更新。

夏の始まり ~浅草ほおずき市~

7月10日は四万六千日で、観音様の功徳日─────
功徳日とは、一日お参りするだけで100日も1000日もお参りした事になるという、ボーナスポイント・更に倍!!というお得な日の事です(笑)
寺によって功徳日が違うらしいのですが、浅草浅草寺では年に12回の功徳日が設けられています。
その中でも7月10日が最大級で、46000日…約126年に相当し、【一生分の功徳が得られる】というから「もう二度と行かなくていいんだな!? お布施もお賽銭もやらなくていいんだな!?」とツッコミたくなるような超法規的な反則技が出る日です(笑)

 

   



       


と…通り沿いには入りたいお店ばかり並んでいるのですが、制限時間があるのでスタスタと歩を進めまして……道を抜けると目的地の浅草寺境内に出ます。
                              藤棚の下には涼を求める人でいっぱい。

 棚の擬木にはミスト用の管が仕込まれていました。   出店の氷水に手を突っ込む子供。 夏の屋台でよく 
                           見かける光景ですよね(笑)                                                                   

この日はやや強い風が吹いていたので、結構涼しかったです。
(前日の方が風もなく厳しい暑さだった…。だから、会社お休みだったけど行かなかったの……(^_^;))
風で入り口の紫の幕も大きくはためいて、その隙を抜けるように沢山の風鈴の音が聞こえてきます。 音を辿って参道脇に出ると、沢山のほおずきの店が立ち並んでいました。

ほおずき市には夕方の涼しい時間を待って出かける人も多いので、5時を過ぎて終盤になっても、どの店も人が途絶える事がないくらい大盛況です\(^o^)/

今やほおずき市と言えば浅草───となっていますが、実は、港区の愛宕神社が起源であります。(羽子板市もこちらが最初)
「境内で自生しているほおずきを飲めば、子供の癇・婦人病に効く」と言われ、愛宕神社で青ほおずき市が立つようになりました。

  江戸時代も薬として利用されていましたが、それはほおずき市で言われる婦人病の薬としてではなく、堕胎に効果があるという事で使われたようです……(-_-;)


もう一つ薬効があるとされる子供の癪(しゃく)というのは、夜泣き・疳(かん)の虫とも言われる、いわゆる成長期の自律神経のバランスの崩れから起こる症状の事です。 
お母さま方なら乳幼児の夜泣きに悩まされた事が多々あるでしょうから、よく御存じのはずですね。

このように伝承として残る程、夜泣き疳の虫は世の母親の悩みどころだったのです。
そこでほおずきを煎じて飲ませれば…とありますが、効き目は全くないようで(笑)
「金つぶ~ひ~や~~きお~がん~♪」「赤ちゃんひとつぶ ボク5つぶー」
のコマーシャルで知られ、夜泣き疳の虫によく効く樋屋奇応丸に含まれる生薬にも残念ながらほおずきは含まれておりません。(関東だと宇津救命丸が夜泣き疳の虫の薬として有名)
因みにこれらのお薬が製造されたのは約400年程前ですが、一般に普及するのは明治期になってからの事です。(何しろ秘伝薬なので一粒の値段が高く、とても庶民が買える代物ではなかったのです)
まあ……実際にはほおずきを煎じて飲むという行為よりも、行ってきたよ~!というお土産感覚で手にするのが主だったでしょうから、効く・効かないは気にしなかったのかもしれません(笑)

さて、四万六千日の縁日にはもう一つ、この日だけに特別に授与される【雷除け】のお札があります。
雷除けとして有名なのは北野天満宮や生身(いきみ) 天満宮ですが、菅原道真には関係なく、浅草寺ではその昔、赤トウモロコシを雷除けの縁起物として販売しておりました。


遡る事江戸時代に、ある村で雷の被害があったのですが、赤トウモロコシを吊るしていた家だけがその被害から逃れられたそうです。

雷は時に火災にも繋がりますから、信心深い江戸の農民はこぞって買い求めた事でしょうね。(でも意外と歴史は浅かったんだなあ~(^o^) ホント、何でも信心ですね!)
四万六千日は、功徳日とほおずき市と雷除けの授与というトリプルのごった返しで、お祭り大好き江戸っ子には楽しい娯楽の一つだったんでしょうね~(笑)
ワタクシも縁日の賑わいは、おいしい食べ物や遊び所が沢山あって大好きです\(^o^)/


でも、短い後ろ髪を引かれつつ、浅草を後にしなければなりません…。

そろそろ電車のお時間が迫ってまいりました。
東京は到る所高い現代建築に囲まれて窮屈なのですが、境内に出ると青空が大きく広がって、何だかホッとします。 

遮るものは何もない、突然の開放感がある場所…。
こういう場所が一番【空】に近い所かもしれない…。
と、振り返る浅草寺の空を見上げてそんな風に思いました。


このまま会社へ向かうのですが、元来た道をそのまま戻るのは勿体無い気がするので、ちょこっとだけ参道を寄り道して、筋道から抜けて行く事にしました。



緑もすっかり夏の色に変わって、作る木陰もクッキリと濃くなっていました。

今週末からは子ジャリどもが(笑)夏休みに入って、どこもかしこも占領して更に混み混みになっていくんだろうなあ~~(^_^;)
風情も旅情も感じる隙はなくなる程、パワー全開の若者たちと渡り合って行けるか、些か不安でございますですよ……。


元来た道に出て、来るときに見られなかった風景が目に映りました。
屋根より低いスカイツリーと風鈴のコラボを眺めつつ、結構いい風景かもしれないなあ…と、何だか妙に納得した気分になってしまいました。
分かるかなあ…? こういうのって(#^.^#)


    こんな景色が、今も昔も変わらない【粋】とかいうものかもしれない。


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